2008年07月

2008年07月28日

ダークナイト

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本当に久しぶりに、ナンパされました。東京駅で声をかけられ「すみません、いつもお見かけするのですが、もしお時間がありましたらコーヒーでも」それも朝です。夏の眩しい陽光を受け、それがどんな質のものであれ、ストレートな男性の誘いにちょっとときめきました。ふわっと舞いあがる気持ちで一日を過ごし、夕方から渋谷のセルリアンタワー東急ホテルに向かいました。こちらで行われる講座に出席するためです。開催されるまで少々時間があり、腹ごしらえのつもりで入った中華料理店。秋刀魚を紹興酒で蒸しとても美味。店には、私と血色の良いおじ様二人だけで、豆腐屋を経営しているというおじ様は沢山話しかけてきます。こんな日もあるものだと店を後にし、セルリアンタワー東急ホテルで2時間の講座を終えますと、地下2階に能楽堂があるのを発見しびっくりしてしまいました。3階にはスポーツクラブ、入会金の額を見てまたびっくり。最上階40階にあるレストランとBARに興味がわき、エレベーターで上昇↑上昇。空気が変わり、渋谷の夜景を一望します。たまにはこんな場所でゆっくりしたいなと思いつつ、わが自宅へ。

夜、寝床につき、うとうとし始めると「モおウーもオウー」と暗く地響きを立てて唸ってくる音があります。また今夜も~とうなだれ寝床から夜空を見上げれば、私の安眠妨害なぞ取るにならない愚痴のごとく撥ね退け、月は煌々と輝いています。家の前に流れる川にこの土地の主のように住みついている牛蛙は、深夜になると唸りだします。その唸りは人が活動をしない闇の中で響き渡り、紛れもない生物のうごめきが少しずつ寝床までにじり寄ってくる気さえします。子供の頃は想像力が豊富で、寝床の中でいろいろなことを思っていました。今はこの牛蛙の唸りの時間が意味もなく過ぎ去るように思え、心地よいとは思えない重低音に怒りさえ感じてきます。止まらない唸りを聴き続け暑さのなかボーっとしていると、愚鈍なその鳴きっぷりに次第に愛しさのようなものが芽生え、鳴きたいんだよななんて穏やかな気持ちにスイッチすると、部屋にやさしい風が吹きこみはじめました。

先日の能「隅田川」の写真が出来あがってきました。面をつけているのが私。シテができる機会はそうそうありません。時の過ぎるのは早いものであれから1ヶ月。夜空には隅田川で花火が打ち上げられる。思いをかけた公演も、既に思い出となりつつあります。だから前へ進んでいくしかないのですね~。

能『隅田川』写真館
撮影 / 宮内 勝

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素謡 「経正」

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(13:08)

2008年07月20日

痕跡 -あとかた-

7月13日に公演を終えました。打ち上げではめずらしく朝まで飲み、それでも帰りがたく明け方の新宿の街を彷徨い、懐かしいような切ないような気分になりました。公演を通して、越えられなかった一線と越えた一線があります。課題と後悔はまた新たな挑戦の糧に。見に来て下さった方々、本当にありがとうございました。

***
1999年に2ヶ月半滞在したオーストリアのグラーツという街。そこで出会ったカメラマンの古屋誠一氏が、日本で展覧会を開くとのご案内を頂き、駆けつけました。

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「トレース・エレメンツ展」
日豪の写真メディアにおける精神と記憶


日本とオーストラリア、それぞれ5人ずつ10人のアーティストによる、写真メディアの様々な表現を紹介する展覧会です。古屋さんの、人物であれ風景であれ、対象をあたたかく(時に悲しく)見つめるまなざしと、記憶の一場面、一瞬の思いを切り取るような作品に心を動かされました。また、ダムタイプ古橋悌二氏の「LOVERS-永遠の恋人たち」という作品に圧倒され、しばらく立ち去ることができませんでした。作品を堪能した後は、ワインを飲みながら、古屋さんと懐かしい話や近況などを報告しあい、アラーキーを紹介して頂いたり(素敵な方でした!)、次回ZORA公演のチラシの写真撮影に協力して下さるとの嬉しい約束もして頂き、とても幸せな夕べとなりました。

古屋さんと再会し、気負いのない、でもとても高いこころざしを感じて、表現者としてのわれわれ二人、おおいに触発され、発憤しました。さて、これからZORAの次回作、本腰を入れて取りかかります!

(15:28)

2008年07月14日


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何年越しかの思いを遂げ、能「隅田川」のシテをやらせていただきました。1時間半、面をかけていますとさまざまな思いが去来しました。視野が限られますから、やはりとても怖いのです。でもその怖さの中で、たくさん自問自答をしました。シテは舞台に出る前に、鏡の前で仮面をつけた自分の姿をずっと見続けます。わたしは心臓が爆発しそうで、ふと自分の仮面の姿から目をそらしたくなりますと、後見をしていただいた観世銕之丞さんが「面をかけ舞台に立ち続けますと、自分を見ているもうひとりの自分を感じるときがありますよ。」と声をかけてくださいました。

6月29日、雨の表参道。満席の舞台。亡き観世榮夫さんもさぞ喜ばれたことでしょう。能舞台を支える皆さんの真摯な姿に出会い、私は心が洗われました。そして最後まで熱く指導してくださった柴田稔先生、つたない私の能を見に来てくださった方たちに感謝の気持ちでいっぱいです。

昨日は、この能舞台への縁を切らずにしてくれた観世葉子さんと鶯谷の豆腐料理屋で祝杯を挙げました。河岸をかえるため路地を歩いていますと、軒先から風鈴のさわやかな音が聞こえてきました。いつも高層ビルの中にいる私にとって、この音色は異次元からくる贈り物のように、ふっと心の隙間に入り込みくすぶりはじめました。葉子さんと会話を交わしながら、昨日観たかもねぎショット公演のダンスシーン、闘志ある書き手かもねぎショットの高見ちゃんの笑顔、縁の下の力持ち相棒の吉村さんの間抜け顔が目に浮かび、これまでのつながりが走馬灯のように流れだし、久しぶりに胸騒ぎする自分に気づきました。これまでの縁を大切に、けれどまだ手にはないあたらしい出会いに風が吹きはじめた予感のする夜でした。

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「隅田川」「一線を越える」の舞台写真も追って掲載していきますね。そしてこれからいよいよZORAは、12月の公演の準備に入ります。少しずつ当ブログで発信していきますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。ご来場いただきまして、誠にありがとうございました!!

(07:47)

2008年07月08日

電球7月13日までの更新はこの記事の下に続きます。

チューリップ 吉村恵美子 次回公演のご案内です!

かもねぎショット公演 
『一線を越える』

2008年7月8日(火)-13日(日)

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日時 7月8日(火)     19時 (右往編)  
     9日(水)     19時 (右往編) 
    10日(木)     19時 (右往編)  
    11日(金)     19時 (左往編)  
    12日(土) 14時・19時 (左往編) 
    13日(日) 14時     (左往編) 
        

場所   ザ・スズナリ(下北沢)

料金 一般    4,000円(当日4,500円)
   ペアシート 7,000円(同日時2枚・当日8,000円 )
   学生割引 前売・当日共  2,500円
   セットチケット6,000円(右往左往 各1枚ずつ)

作・演出 高見亮子 / 演出・振付 伊藤多恵 

出演 多田慶子
   吉村恵美子
   村島智之
   栗栖千尋(かもねぎショット)
   高見亮子(かもねぎショット)
   井草加代(かもねぎショット)
   藤田千穂(かもねぎショット)
   松原佐紀子(ダンサー)
   池田素子(ダンサー)
   若松智子(ダンサー)
   公門美佳(ダンサー)
   三枝はな(ダンサー)
   とまるながこ (ダンサー)
 
電球 詳細はこちらをクリック →かもねぎショットHP 

***

『一線を越える』…なんとも意味深なタイトルですね。男女の一線を思い浮かべてしまいがち(?)ですが、世の中には目に見えたり見えなかったり、さまざまな「一線」があるようでございます。そして線のこっちとあっちで右往左往しているのが私たちなのでございます。ちょっとシュール、思わずニヤリ。高見ワールド全開の新作短編10本!強力ダンサー陣も加わります。短編の快楽、ぜひご堪能下さいませ。

(00:15)

2008年07月07日

『一線を越える』
7月8日より
まもなく本番です!

稽古場でやるべきことはともかく終え、明日から劇場に入ります。慌ただしく余裕のない状態で突入するわけですが、いい緊張感を持ちつつ、初日を迎えられたら…と思っております。6日間の芝居のために、約2ヶ月の稽古期間を費やしました。なんて効率の悪い、と思われるかもしれません。しかも舞台は映像と違い跡には残りません。儚いものです。でも、だからこそ、この生の時間を、一度しか現れない現象を共有して頂きたいと願うのであります。

短編の芝居と、ダンスが交互に。めくるめく1時間40分です。ぜひ劇場へ。

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折しも今宵は七夕。天の川もまた一年に一度だけ越えられる一線ですね。

(01:45)